この記事で分かることはこんなことです
傷病手当金とは?
傷病手当金は、病気休業中に被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、被保険者が病気やケガのために会社を休み、事業主から十分な報酬が受けられない場合に支給されます。
就業時給与を基に算定された標準報酬月額×2/3の金額を最低保障額として、現在加入中の健康保険組合から支給される手当金です。
2/3というのは最低保障率であり、加入中の健康保険組合によっては70%であったり85%であったりとその差はまちまちです。
最大1年6か月まで受給されることが可能です。
病気療養で働くことが出来ない場合には多大な恩恵措置であり、受給資格を満たせば是非受給をおすすめします。
自営業の方が加入する国民健康保険はこの対象にはならないことには注意が必要です。
傷病手当金の受給資格について
傷病手当金の受給資格は、以下の4つの条件をすべて満たすことが条件となります。
①業務外の事由による病気やケガの療養のための休業であること
②仕事に就くことができないこと
③連続する3日間を含み4日以上仕事に就けなかったこと
④休職した期間について給与の支払いがないこと
そして、重要なことが『退職後でも受給することができる』ということです。
うつ病 × 傷病手当金に関する話題
『休職中(復職前提) × うつ病 × 傷病手当金』のケース
傷病手当金に関する大きな話題の一つがこの、うつ病と診断されて受給をするケースです。
現在在職中かつ休業中で、復職を前提とした形で傷病手当金を受給するケースはほとんど問題になることはありません。
なぜなら在職中の会社としては、あなたが精神疾患が原因で休職していることを承知しているからです。
傷病手当金を受給しながら、生活の不安を抱えることなく元の健康な状態に戻ることが大切です。
健康状態が回復次第、復職して無理なく働きましょう。
『退職後 × うつ病 × 傷病手当金』のケース
傷病手当金は最長で1年6か月の間支給されます。
この期間を上手に活かしながら元の健康状態を取り戻すことが大切になります。
傷病手当金を受給することによるデメリットは一つもありません。万が一のための保障を受けるために毎月の健康保険料を支払っているのです。受給する権利があります。
健康状態が回復したら、また新たに転職活動をすればよいのです。
『退職後 × うつ病 × 傷病手当金 × 再就職決定』のケース
ネットなどで一番注目されているのが、まぎれもないこのケースです。
何故でしょうか?
本来は傷病手当金を受給しながらしっかりと健康な状態を取り戻すことが一番大切です。
しかしながら、健康状態もだいぶん回復してくると、皆さんやはり転職活動に入られる方が多いと思います。
転職面接では、聞かれない限り精神的疾患により退職あるいは休業していることを伝える人は少ないでしょう。
本来聞かれたらウソをついてはいけません。
しかし、転職活動に入られる方の多くは病状もだいぶん回復されていると思います。
その上でわざわざうつ病などの精神疾患が原因で、休職あるいは退職しているということを能動的に伝える応募者はほぼいないです。
もちろん、再発の可能性もあるため、長期的な目線でご自身と応募企業の事を考えて正直に話をした方がよいケースもあります。
しかし、それはまだまだ例外的な話で、実情は病気を隠して転職活動をするケースが多いはずです。
今回は転職エージェントサイトなどではどうしても書きにくいこの内容をメイン記事にします。
受給方法や申請書の記入方法などは、先ほどのホームページをご覧下さい。
とても詳しく分かりやすい形でまとめられています。
うつ病 × 傷病手当金 × 転職活動 について
さて、うつ病が原因で休職することになり傷病手当金を受給することになったあなた。
傷病手当金を受給しながら目指すことは『元の元気な健康状態を取り戻すこと』です。
それだけならよいのですが、ここで転職活動が絡んでくると話がややこしくなってきます。
考えられるケースについて、見ていきましょう。
休職中 × 傷病手当金 × 転職活動 のケース
これは、タイトルを見てハッとされた方はその通りです。
現在の会社に籍を置いて休職しながらの転職活動はやめておきましょう。
これは、筆者もさすがにおススメできません。いったん退職して、退職後無職期間が少なからずあればまだしも、切れ間なく転職するのはまずいです。
私の周りも色々な人がいますが、さすがにこのケースの人は見たことがありません。
該当者がいれば、やめた方がいいと止めると思います。
後々トラブルにも発展する可能性もあるため、控えた方がよいでしょう。
退職後 × 傷病手当金 × 転職活動 のケース
恐らく一番問題になるのはこのケースです。前半の記事でもお伝えした通り、グレーゾーンな転職活動になります。
なぜグレーゾーンなのかというと、
実情や受給者の将来のことはともかくとして、制度上の建付けはそのようになっています。
現実的な話としてこの3点についてどのような対処ができるのか、ご紹介をします。
退職後に傷病手当金を受給しながら転職活動を行うとどうなる?
①傷病手当金を貰いながら転職活動するのはまずいのでは?
①については実際グレーゾーンです。
傷病手当金を貰うためには、傷病手当金受給のための申請書の提出が必要です。基本的には毎月提出することになると思います。
申請書には、担当医師の所見の記載が必要です。所見の記載には病院にもよりますが、千円~3千円程度の支払いが必要です。
意思の立場としては、あなたが就労できる状況にないため傷病手当金支給の申請書に記載をしてくれるわけです。
とはいえ、医師としてはあなたがしっかりと健康状態を回復し、社会復帰のお手伝いをすることも職務の一つです。
健康になって通院も終わり、傷病手当金の支給も終わりました。生活できなくなりました。
これではやはりいけません。受給終了の時期については医師も相談に乗ってくれます。
上手くやってくださいとしか書けませんが、自分の身はしっかり自分で守ってください。
あなたが真剣に話をすれば、医師も分かってくれると思います。
ただし、基本はしっかりと健康状態を良好に戻した上で転職活動をすることが大切です。
中途半端な状態でもし転職が決まったとしても、転職先で同じことを繰り返す可能性あることもしっかり理解しておきましょう。
②転職面接での受け答えはどうすればいいのか?
転職面接の時に、健康状態に対する質問を受けることがあります。
あなたが良好な状態で面接に臨んでいるのであれば、健康であると答えればよいです。
履歴書の提出時に、応募企業が自社の専用フォーマットでの提出を要求することがあります。
日系大手で歴史ある企業にたまにみられることです。
履歴書には過去重大な病気を患った経験があるかという欄が設けられていることがあります。虚偽記載はすべきではないとだけお伝えしておきます。
転職エージェントや市販の履歴書には、この項目はまずありませんので安心してください。
ただし、面接で聞かれるケースがたまにあります。そこはあなたや応募企業が困らないようにしっかりと答えてください。
離職期間が長い場合は、離職期間中のことを質問されることがあります。
ただし、傷病手当金受給の確認などされることは普通に考えてありません。私の経験上も0です。もしそのような質問をしてくる企業であれば、入社する必要はありません。
どうどうと面接に臨めばいいです。劣等感や引け目は感じる必要はありません。自信を持ってください。応援しています。
いつものあなたでいればいいんです
③再就職が決まった後に、傷病手当金受給の履歴や病歴がバレるのでは?
転職活動も無事内定を獲得。ホッとしたのもつかの間に襲う一番の恐怖はこれではないでしょうか?
心配なあなたに早めに答えをお伝えすると、
入社日まで、安心して最後の余暇を過ごしてくださいね。
なぜバレることがないかというと、
転職先企業の人事があなたの前職の健康保険組合に問い合わせ照会を依頼することはないからです。
例えばこのようなこと、
業界同業やベンチャー企業共同の健康保険組合の場合はどうなの?
不安症のあなたにもう一つお伝えします。
民間の健康保険組合では、特定の業界の組合(例えば特定のIT企業の団体のあつまり)や、ベンチャー企業複数社が集まって共済しながら健康保険組合を運営しているケースがあります。
もし、あなたが現職でこのような共済団体の健康保険組合に所属しており、転職先もまさかの同一健康保険組合団体であればどうでしょうか?
そこで情報の共有が行われるのでは?と不安になるかたも多いと思います。
しかし、これも結論から申し上げると、大丈夫です。問題ありません。
そもそも、健康保険組合が同じでも異なっていても考え方は同じです。
つまり、個人の病歴など健康状態に関することは個人情報保護の観点から最上級レベルで厳重に保護しないといけない内容なのです。
逆にこのような情報が洩れることの方が社会問題です・・・
私が大丈夫だと言っている理由はここにあります。
転職前と転職後の健康保険組合が同一であったとしていても、健康保険組合は企業から独立した存在です。
したがって、健康保険組合が関連する企業の人事に応募者の健康上の情報を安易に提出すること自体があり得ないことなのです。
また、転職時には前職の源泉徴収票の提出が求められると思います。
この源泉徴収票にも、傷病手当金受給に関する記載欄などはありません。
源泉徴収票経由でも転職先にバレることはありません。
こうした点で不安に感じていた人には朗報かと思いますので安心して下さいね。
(例外)傷病手当金の受給がバレるケース
最後の最後に、バレる可能性の話があります。
健康状態が回復してから転職活動をすべきだという最大の理由がここにあります。
それは転職先で病気が再発し、以前と同一の病名で傷病手当金を受給するケースです。
この場合は受給審査のために、前職の健康保険組合への問い合わせがあります。この過程でバレることがあります。
したがって、しっかりと元気な状態で転職活動は実施しましょう。
休職中の転職活動について
別の記事で休職期間の転職活動についてまとめています。
休職の事実はバレることはあるのか?またそうならないような対処法も紹介しています。
まとめ
ということでいかがでしたでしょうか?
今回の記事のテーマは重たい内容ですが、重要な内容でもあります。
大切なのは、健康な状態で働けることです。
人生生きていれば故障することもあります。日本という恵まれた国で生きているのですから、その時はセーフティネットをありがたく活用させてもらいましょう。
・在職中で傷病手当金を受給しながらの転職活動はNG
・傷病手当金の受給履歴はバレることはない
・同一の病名で転職先で傷病給付金を再受給する場合は注意が必要
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