この記事で分かることはこんなことです
前回のまとめ
前回記事の続きです。志望動機を考えることにはじっくりと時間をかけ、ぶれない様にした方がよいです。
志望動機がしっかり固まれば、履歴書や職務経歴書の整理もスムーズに進みます。面接の対策としても非常に有効となります。
前回はおおむね以下のようなことについてまとめました。
・志望動機の大切さ
・志望動機の組み立て方
・異業種異職種の志望動機
・志望動機を考える際の注意点
前回の記事を読んでいない方はこちらをどうぞ!
今回は私の過去の志望動機(加工部分あり)を用いて、実際の志望動機について考えてみましょう。
私のサンプルを基に志望動機の組み立て方を考えてみましょう
志望動機としては、私が外資系企業に転職したときの動機が分かりやすいので、その当時の例をサンプルにしてみます。
当時の年齢は30代の半ばでした。ちなみに、現在まででいうと4社経験(つまり3回転職している)しています。
まずは、これまでの経歴をまとめてみよう。
大切なことは、あなたが些細と感じている経験にもヒカルモノがあるということ。
自信を持って書き出してみましょう。
まずはこれまでの経験を時系列で思い出してみる
まずは、これまでの経験の洗い出しと整理が大切になります。
私の場合(大学在籍時~初めて入った会社)をサンプルにしてみます。
【大学在籍時~1社目(国内ベンチャー企業)】在籍期間:20yy/mm/dd~20yy/mm/dd
大学は経済学部で在学中より公認会計士を目指す。
既卒となった年の受験の失敗を最後に1社目の会社に入社。財務会計の一定の知識及び簿記の資格を取得する。
1社目のベンチャー企業では100%新規開拓営業。中小零細企業/個人の顧客向けに、300万円程度のWebサイト構築及び顧客管理データベースシステムの販売活動に携わる。
1日200件のテレアポ、アポイント取得に成功したお客様先の訪問が2~4件/日 というサイクルの営業活動を展開。
当時最年少で営業マネージャーに昇進。5名の営業チームのリーダーとしてチーム運営及び育成活動に従事。(といっても、当時の私ではそんな育成できるわけありませんが・・・)
法人向けに必要とされる基礎的な営業能力とWebサイトの基礎知識を習得する。
経歴の中で気になる”キーワード”を拾ってみる
私の1社目の在籍は長くなく、経験としても単調です。
そうであったとしてもこの中で気になる”キーワード”を拾ってみましょう。
職務経歴として有効そうなもの、経験を裏付けるものを探してみましょう。
職務経歴を【デフォルメする】とでもいいますか
【キーワード】
・会計士の勉強をしていた(会計に関する知識、簿記の資格)
・ベンチャー(イケイケで短期間でギュッと凝縮した経験が積めるような気がしませんか(笑))
・Webサイト関連の知識、300万円の商材
・200件のテレアポ、数件の顧客訪問
・顧客は中小零細企業及び個人
・営業マネージャを経験
退職理由はネガティブであることは通説
そして、ここもまた大切なポイントなのですが、
『なぜ、その会社を退職するに至ったか』
これも非常に大切な項目です。面接でもほぼ聞かれると思って間違いないです。
そして、後ろ向きな退職理由はよくないとは言われます。
しかし無理して前向きな理由ばかりを作り過ぎなくてもいいと思います。
面接官は多かれ少なかれネガティブな退職理由もあるということは理解しているかからです。
後ろ向きな理由があっても構いません。
それを前向きに変換するための理由の深堀は必要になります。
しかし人間は本能的には変化を嫌う生物なので、不満がなければ環境をわざわざ変えようとは中々思わないものです。
要は、過大なウソはつかず相手に納得してもらえればよいということになります。
私の場合で考えてみます。
【後ろ向きな理由】
・労働環境が劣悪(毎日深夜まで、土日休みなし)
・単一商材で自身の発展やスキルアップを見込みにくい
・会社の将来性に対する不安
・詐欺まがいの営業手法であり、良心の呵責があった。リピートの顧客なんておらず。
【前向きな理由】
・より大きなお客様に対して大きな仕事をやってみたい(数千万円~億単位のビジネス)
・会社対会社として、中長期的なお付き合いができる仕事のスタイルを取りたい
・幅広いソリューションがある会社に在籍して、自身のスキルをアップしたい
とまぁ、こんなところです。若かりし20代の頃の退職理由。そのまま志望動機としても使えそうな理由ですね。
ポテンシャル採用というのは、こういう一般教養と社会人の最低限のスキルやマナーを他社で備えたやる気のある人材を獲得する活動と言えると思います。
ちなみに、この時点で『何か』を探したり、無理に『関連性』や『意味づけ』をすることはないです。
きれいな職務の流れになっていなくても大丈夫。
そんな順調なキャリアの人はむしろ全体の中では少数ですし、少しは挫折した方がいいです(笑)
ということで、2社目の経験を棚卸してみましょう。
職務経歴を更に洗い出す
続いて私の1回目の転職先である2社目の企業での経験を洗い出してみます。
【2社目(国内大手IT企業)】在籍期間:20yy/mm/dd~20yy/mm/dd
ITの知識は皆無であったが、経理系の知識と資格保有が認められ国内大手IT企業のERP(基幹業務システム)の営業担当としてソリューションセールスとして再スタート。
幅広い業種(製造業、小売り業、建設業、商社など)に対してERPシステムの提案活動に従事。
1案件当たり数百万円から数千万円。
ERPシステム提案の基礎知識と、顧客に対する中長期的な提案ノウハウを習得。
新規顧客、リピート顧客の両方を対応する。経理系業務知識をさらに深める。
ERP営業担当からアカウント営業(顧客対応型直販営業)にキャリアチェンジを行う。公共インフラ系顧客数社をメインとした専属営業活動を開始する。
地方マーケット故、顧客要望は何でも提案することで幅広い製品に触れる。(ITも色々と分野や製品があります)
顧客のITインフラを全面的に支える大規模提案経験を積む。提案領域は●●分野から▲▲分野まで多岐にわたる。
1案件当たりの金額規模は数千万円~1億強。5~数十名のエンジニアが携わるプロジェクトに参画する。
その後、自部署での最重要顧客を担当。売上部署No1を獲得。
当該顧客に対して、会社として前例を見ない●●サービスの企画及び提案をし、受注に至る。
アカウント営業担当として、幅広いソリューションの知識、大手顧客との中長期的な関係構築といった経験を積む。
大規模プロジェクトに参画することで、関係各所の利害調整などプロジェクトが円滑に進むような立ち回りが得意になる。
その後、部署異動にて本社勤務となる。米系の新規商材の契約から国内の販売網の構築に従事。
仕入れ先が海外企業ということもあり、英語による業務(プレゼン、交渉、メールなど)を経験。
✖✖分野における製品知識の習得と、マーケット立ち上げの経験を積む。
・・・とここまでが私の2社目の大まかな経験です。(はしょったつもりですが、長いですね、ごめんなさい)
んじゃ、またキーワードを拾ってみよう!
【キーワード】
・ERP販売担当
・大手顧客向けアカウント(顧客対応型直販)営業経験
・(ある分野の)提案経験、大規模プロジェクト参画経験
・売上実績No1
・本社移動後(特定分野の)マーケット立ち上げ経験
・英語を利用した業務
こんな感じでしょうか。続いて2社目の退職理由です。
【後ろ向きな理由】
・仕事が面白くない
・やれることが限られている
・会社の将来性に一抹の不安
【前向きな理由】
・スキルアップ、給与アップしたい
・アカウント営業として、東京の大手企業とのビジネスを経験したい
・これまでの経験を応用してより大きなビジネス(社会貢献度の高い)にチャレンジしたい
・メーカーとしての強みを活かした仕事をやってみたい
概ねこのような感じでした。そして、この経験を整理した後は、実際にあなたの志望動機について考えてみましょう。
経験に裏打ちされたシンプルな志望動機を考えてみる
退職検討の理由は転職動機でもあり、志望動機にも深く結びついている点にも注目すると考えやすいかもしれません。
私の場合は、2社目を退職する理由がまさに他社を志望する動機でした。
2社目の最後は製品担当だったのですが、習得した製品知識を武器にアカウント営業に戻りたかったんですね。しかもよりよい待遇で(笑)
したがって、私の転職動機を簡単にまとめると、
メーカーでのアカウント営業、大きなマーケットで、大きな仕事がしたい
ということになります。(単純ですね・・・・)
つまり、この希望を叶えてくれそうな会社を【志望する】ということになり、その際の【志望動機】をしっかりとまとめるということになります。
そして、キャリア転職の場合に必要になる要素があります。それは、
経験に裏打ちされた志望動機!
つまり、これまでまとめてきた『経験』が大切になってきます
ということです。私の1社目と2社目の経験の”キーワード”を合算するとこのようになっています。
【1社目:国内ベンチャー企業】
・会計士の勉強をしていた(会計に関する知識、簿記の資格)
・ベンチャー(イケイケで短期間でギュッと凝縮した経験が積めるような気がしませんか(笑))
・Webサイト関連の知識、300万円の商材
・200件のテレアポ、数件の顧客訪問
・顧客は中小零細企業及び個人
・営業マネージャを経験
【2社目:国内大手IT企業】
・ERP販売担当
・大手顧客向けアカウント(顧客対応型直販)営業経験
・(ある分野の)提案経験、大規模プロジェクト参画経験
・売上実績No1
・本社移動後(特定分野の)マーケット立ち上げ経験
・英語を利用した業務
そして、この中から上記の私の転職動機に必要な項目以外は削除します。
それがこれです。
【1社目:国内ベンチャー企業】
・会計士の勉強をしていた(会計に関する知識、簿記の資格)
・ベンチャー(イケイケで短期間でギュッと凝縮した経験が積めるような気がしませんか(笑))
・Webサイト関連の知識、300万円の商材
・200件のテレアポ、数件の顧客訪問
・顧客は中小零細企業及び個人
・営業マネージャを経験
【2社目:国内大手IT企業】
・ERP販売担当
・大手顧客向けアカウント(顧客対応型直販)営業経験
・(ある分野の)提案経験、大規模プロジェクト参画経験
・売上実績No1
・本社移動後(特定分野の)マーケット立ち上げ経験
・英語を利用した業務
1社目の経験、全部なくなってるやん(笑)
でも大丈夫。上記の経験(経歴)は職務経歴書に書くことになります。
無駄ではありません。
つまりわたしはこの転職動機
これまでの知識を活かしたアカウント営業、大きなマーケットで、大きな仕事がしたい
を抱くに至る
・大手顧客向けアカウント(顧客対応型直販)営業経験
・(ある分野の)提案経験、大規模プロジェクト参画経験
・売上実績No1
・英語を利用した業務
という経緯や経験があるということになりますね。どうですか?少し説得力を感じませんか?
ていうか、ここまで来るの長かったね(汗)
実際私はこの作業に何時間も掛けています。吐きそうなくらいに考え抜きました。
記事ではなるべく分かりやすいように要約していますが、実際はもっと粒度の細かい洗い出しを行っています。
汎用的に活用できる大枠の志望動機とは?
次に、受験対象企業(グループ)に共通して持っている動機(これを大枠の志望動機と勝手に命名します)について考えていきましょう。
誤解を恐れずに言うと、
汎用的に使うことができるあなたのベースとなる志望動機です。
これまでの転職動機とあなたの経験を基にざっくりと志望動機を組み立ててみましょう。
IT業界になじみのない人はピンと来ないと思います。すみません。
インフラ系(サーバーやストレージなどのハードウェア関連製品の導入)のSI(システムインテグレーション)プロジェクトのビジネス経験を基にハードウェアメーカーを受験することを想定とした志望動機のサンプルになります。
私はこれまで、アカウントセールスとして、大手民間企業向けにインフラ関連のソリューションを中心として、幅広い提案活動に従事して参りました。
プロジェクト型の商談が多いこともあり、顧客経営層から現場担当者までの異なるニーズを的確に理解し、それをバランスよく解決するソリューションを選定し、お客様に安心してご利用を頂けるようなプロジェクト体制を営業の目線から構築することを得意としています。
今後もインフラ分野を中心としたアカウントセールスの路線を追求することで、顧客企業のよりコアな課題解決、ITを活用したイノベーション促進における重要なパートナーとしてお客様から選ばれるセールスとなれるよう邁進する所存です。
現職は総合的な課題解決ができる会社ではあるものの、インフラ関連の自社製品は持ち合わせておらず、超大規模の案件はインフラメーカーに流れてしまうことも多々あり悔しい思いをしてきました。メーカーとしての強みを背景に、これまでの経験を活かしながら営業活動を展開することでより社会貢献度の高い成果を生み出すことができると考えています。
上記の大枠の志望動機は、IT関連の大手メーカーを受験するのであれば汎用的に利用することができます。
ここはぶれてはいけない軸になりますので、しっかりと固めておく必要があります。
面接官を唸らせる個社ごとの志望動機を考える
大枠の志望動機についてある程度まとめることができれば、次は『なぜ』御社でなければだめなんです という理由が必要になります。
例えば私が受験した大手外資系IT企業ではこのような詳細な志望動機を思い描いていました。
御社の事業領域は広く、且つ私がこれまで一番経験を積んできた●●や▲▲関連の製品・ソリューションについては世界No1の実績があります。その製品力や技術力を背景に営業活動を展開することができれば、顧客満足度が非常に高いビジネスとなることを確信しています。
また、アカウントセールスの視点では、巨大企業とのビジネスにチャレンジしたいと思っておりますが、御社は✖✖業界において日本を代表するクライアントとの接点が非常に強いというところにも魅力を感じています。
こういった未来志向型の志望動機も考えたことがあります。
御社は国内を代表する大手IT企業群の中でも、研究開発という点においては他社から頭一つ抜けた会社であると理解しています。
●●の研究センターに一度お伺いしたことがありますが、実際の研究員の方とお話しする中で★★サービスの5年先の技術を先行的に開発されているということを知り、大変驚きました。
しかも、単なる研究開発に留まらず、利用が想定される企業様と実証実験を重ねながら『実用化』を強く意識した取り組みをされている点に、御社の未来志向型のビジネス路線を垣間見た気がし、営業の立場としても御社のような技術力が高い会社で働きたいと感じています。
こういう感じで、各社ごとの詳細な志望動機をご自身の経験や今後のやりたいことに結び付けながら組み立てていくと、受験企業オリジナルの内容が濃く理路整然としたソリッドな志望動機が完成すると思います。
面接官の心に響く”説得力のある”志望動機を練り上げよう
今回の記事では、これまでの職務経験や退職検討理由から、あなたのベースとなる基本的志望動機を考えました。
これはいわゆるこれまでのあなたの集大成としての動機です。
キャリアの転職活動ではキラキラした動機は必要ありません。
これまでの経験に基づいた説得力のある志望動機が有効です。
その志望動機を聞けば、あなたという人柄の輪郭が垣間見えるような。変に脚色する必要はないので、あなたという人を表す志望動機を考えてみて下さい。
その上で、志望企業各社ごとの個別の動機を考えましょう。これには企業研究が必要になりますが、なぜ御社を志望しているのかという理由を表明するためには欠かせない作業です。
納得感があるベースとしての動機、そして志望企業に対するオリジナルの理由を付け加えることができれば面接官の心に響く説得力のある志望動機が完成するはずです。
転職活動の際には大きな大きな山となるポイントですが、ご参考になれば幸いです。
まとめ
・まずはこれまでの経歴を洗い出し、職務の”キーワード”を拾ってみよう
・経験に基づくシンプルな志望動機を組み立てる
・幅広く通用するあなたのベースとなる志望動機を組み立てる
・面接官に響く各社ごとの詳細な志望動機を組み立てる
長文お読み頂きありがとうございます。
今日はここまで。
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